地下鉄サリン事件から今日で10年です。いまだに後遺症に苦しむ方々を思うと、悲しみを新たにします。10年前私は16歳、高校1年の終業式の日でした、朝通学の際にすれ違った電車がサリンを撒かれた電車でした。終業式の後、教室でウォークマンについていたラジオで、第一報はたしか「地下鉄でガス爆発」というものでした。それが昼近くになると「サリン」であると報じられ、何者かが撒いたものであるということが明らかになりました。帰りの駅のホームには警官が立っていたことを記憶しています。あのときの言い知れない恐怖ともなんともつかない、「避けられない」というようなある意味クールな緊張感が漂っていた雰囲気はいまなお体に染み付いている感じです。実はその翌日、まだ犯人がわからない中で、東京ドームへ巨人オリックスのオープン戦を見に行きました。地下鉄に乗らず地上から行き、救急車の音で誰もがざわつくというような、そのときの観客全体のなんとなくぴりぴりした雰囲気のなかで、とりあえず野球を楽しむという奇妙な体験をしました。いまはあたり前になった「不審物を・・・」うんぬんの放送がリアルだったことを思い出します。
それから10年、95年3月21日より厳しくなったボディーチェックでも、だれも文句を言わなくなった。いいか悪いかは別にして、私は高校生だったせいもあるのかもしれませんが、この事件の前と後で、世間の「空気」が全く変わったという体験をしました。それが社会学を学ぼうと思ったきっかけの一つともいえると思います。この10年が、人生の大部分をすごしたいまの10代はどういう意識をもっているのか。いま、『10代のぜんぶ』という本を読んでいます。
そんなことを書いているうちに、福岡で大地震の報です。被害が少ないことを祈ります。