4月24日のエントリーの解説です
(敬称略)
そもそも今回の選挙の伏線は、いまから3年前の4月に遡ります。統一地方選挙で行われた千葉県議選挙は、自民公明民主共産の現職が議席を分け合うになるはずが、当時落選中だった自民のI元代議士の子息が保守系無所属新人で出馬することになり、保守分裂的な形になったわけです。その結果、自民の現職が一人落選し、IJrが当選したのですが、選挙違反で摘発を受け、元代議士の逮捕にまで発展してしまいます。最高裁で有罪が確定し連座制の適用でIjrが失職。その補欠選挙(05年3月)でさきに落選した自民系元職を破って当選したのがあの太田和美です。あれから1年、彼女が県議として何をやったのかは、全く知りません。
そして千葉七区は、小選挙区制導入時(96年)に、自民からマツモトキヨシの創業者の息子松本和那が当選し、00年に再選、そして03年に父親の体調不良による引退の後を継いで、息子の松本和巳が出ますが、ここでは、2度目の挑戦となった民主党の内山晃に1万3000票差で敗れる。その後松戸市長選(彼の祖父が市長を勤めたことがある。<すぐやる課>創設で有名)への挑戦が噂されていたが、昨年の突然の郵政解散で再び出馬、そして内山晃を今度は1万4000票差で破って当選、内山は比例で復活した。ところがここでまた選挙違反。しかも、あの県議選と全く同じやり方での摘発で、結局今回の補選実施の事態になったわけです。
要するに普通に考えれば、これだけの不祥事があって民主党が勝てない筈はなかったわけですよ。あのガセ・メールまでは・・・。
民主党はそもそも、選挙区と比例で交互に候補者を調整する「コスタリカ方式」を使わず、選挙区で当選した方を優先的に公認するという手法を変えておらず、比例から選挙区への「鞍替え」をすることで地盤を安定させるしかないという事情があります。選挙違反、そして「四点セット」という、追い風の中、当然内山も鞍替え出馬を検討します。
ところが、ここであの永田メール騒動、しかもその主役、永田氏も野田佳彦氏もどちらも千葉が選挙区です。この上ないダメージとなってしまいました。それでも強硬に出馬しようとする内山を説得したのが、代表就任前の小沢一郎といわれています(内山は小沢グループ)そして鞍替えを断念するなかで、あきらめムードの中で、再び補欠選候補に挙がったのが太田和美だったわけです。
逆に自民はこのメール騒動から一気に攻勢を強めようと目論んだが、結局は、昨年の総選挙と同じ手法の落下傘候補という形で、地元との調整が完全にならなかった。また、自民支持者の中にも「新人が地盤を固めてしまうくらいなら、次の選挙で勝てるような民主党候補を勝たすのもいい」というのに近い考えすらあったとも言われています。自民党支持者の2,3割が太田に投票しているのをみても少なからず影響はあったでしょう。そして生まれたのが、950票差での民主党候補の勝利だったわけです。
こういう経緯をある程度知っている地元の人間からすれば、はっきり言って民主が勝って当然の流れ、逆に言えば、1000票程度差しか付けられなかったのは、マスメディアの「これで攻勢」「小泉に痛手」などというのより、本当にヤバカッタというとこでしょう、内山でも勝ったときは1万票の差をつけていますよ、しかも「地元」の松本和巳にね。もう少しいい候補を立てていたら余裕で勝てたというゆえんは、このあたりにあります。メディアが煽った「格差にNo」とか、後でつけた理屈。「庶民派対エリート」というのも、ほんとに「庶民派」なの?と?を付ける人は地元には結構いますよ。まあ民主党それ自体、幹事長が、幹部みんなで花見が出来るような豪邸を持った人の党ですから。(笑)
さて、「これから」を考えて見ましょう、これで民主は、同じ選挙区に2人の議員が出ることになります、「コスタリカ」をとらず、選挙区優先の原則、貫くんですかね。しかも直接鞍替えを断念させた小沢グループの内山にできますかね。場合によっては、折角当選した太田和美を参議院に鞍替えさせる?太田は26ですから、衆議院の被選挙権はあっても参議院の被選挙権がありませんねえ。これをどう調整させるのでしょうか、これが面白くなりそうな理由です。