まことに畏れ多い話題で恐縮ですが、皇室典範の改正に関する有識者会議の報告が出ました。感想を述べるならば、いささか急ぎすぎの気がいたします。あくまでも、愛子さまの皇位継承権をはっきりするはずの論議だったはずが、男系維持か女系天皇かという論議になってしまったのではないか。最近になっては、男系維持を求める声も高まっているようで事態はさらに混迷を深めています。不勉強ななマスコミは『ついに女系天皇の誕生!』などと気の早いテロップを出していて私はびっくりしてしまいましたが、愛子様が即位されたとしても『男系女子』ですから、「女系」にはなりませんよ。緊急の問題とはいえ、2000年の歴史をわずかな期間で決めることは慎重であるべきではないでしょうか。
ここに来て皇室関係者からの発言も漏れ承ることになる事態となっていますが、このような状態は、宸襟を御悩ませ奉るだけで、緊急の解決をすべきではないと思います。高円宮の早世は本当に惜しまれます。
ここは男系・女系論は棚上げして、緊急の問題である愛子さまに皇位継承権を設けるのか否かに絞るべきではないかと思います。結論からいえば、「特例」で愛子様に皇位継承権を設けて、ご成人後に、旧宮家(11宮家に限る必要は無いと思うが)の男子と結婚して男子が生まれればそれはそれで、血脈的には男系になり、丸く収まるわけで、それでもまた内親王がお生まれなら、そこでまた考えればよいことです。「男系」を維持することを目的とするならば、それでよいはずですよね。
そもそも、皇室も「特例」の連続の歴史といっても過言ではない出来事はたくさんあります。それを考えれば、拙速に歴史を変えるよりは、皇室典範の附則に「第1条については、第127代天皇の即位に限りこの限りではない」というような、最善の方法を「特例」で乗り切る方が、日本の歴史にあっていると思うのです。
あんまり皇室の根源論争を続けても、「南北正閏論争」とかに発展したりすればまた問題だし、旧宮家をいきなり復活させたり、内親王宮家を維持するのも一大事なってくる。旧宮家にヘンな取り巻き、それこそ『君側の奸』がついたりしてスキャンダルになれば、皇室にまことに畏れ多い事態を発生させることになるわけで、それだけは避けるべきではないでしょうか。