私がいつも利用する新京成電鉄が思わぬことで騒動です。こういう話で全国に名が知られるのもどうかと思いますが(笑)。八柱駅で車掌が腹痛で電車を降りてトイレに行ったため、子会社社員のホーム監視員(車掌OB)が車掌として乗務してしまい、くぬぎ山駅での乗務員交代まで、常盤平、五香、元山、くぬぎ山まで約8分乗務した。これについて、新京成電鉄はあってはならないことが起こったとして、それに伴って運転士、車掌とOBを処分する方針を発表した。この処分方針について、抗議が50件ほど届いているという。
結論からいえば、発表してしまった以上、処分はしょうがないでしょうね、無資格者が乗務したという点で、社内規定以前に、鉄道営業法違反ですから。新京成の上層部も悩んだと思います。結果無事に済んだわけですから穏便に済ますことも出来たでしょうが、遅れて発覚すれば『隠蔽!』と叩かれたうえに、鉄道営業法違反で行政処分をされる可能性も高いから報告に踏み切ったのでしょう。ただ、発表するタイミングとしては、形式上の処分を決定するまであえて発表する必要もなかったかもしれません。これを撤回したり軽めの処分であれば、たとえそうじゃなくても、「世間の抗議に影響された」といわれるでしょうし、過度に重い処分では現場の士気に影響したり、世間でまた騒がれかねません。発表の時期の読みが甘かったかな。黒字の準大手私鉄とはいえのんびりしたところですからこんなに話題になるとは思ってなかったのでしょう。私は「厳重注意」「戒告」あたりでいいとは思いますが。以前の東武の運転士とは次元が違う問題ですから。
処分とは別の問題として、このニュースは、考えさせられます。私は、OBがとった行動としては、気持ちはよくわかります。機転が利いていたし、こういうときは事故は起きないモンですよ普通は。一昔前ならば下手すれば表彰されていたかもしれません。
尼崎の事故以降、「オーバーラン叩き」や運転士への暴力など、「もし事故がおきたら」と鉄道業界は過剰防衛傾向に感じます。ただ、その背景にあるのは無理がかかっている合理化のなかで、業務の高度化に行動基準が現実に合わなかったり運用に難がある点についての改善がきちんとされているのかという問題も突きつけられています。OB世代からすれば『電車を遅らせる』ことの悪(実際、ダイヤ乱れが事故を呼ぶということも多い)と、最近の『法令・もしくはマニュアルを守る』ことを絶対視する傾向とのアンバランスがあったかもしれません。
新京成はホームに職員が居る駅は少ないんですが、八柱駅は急カーブにある駅なので、見通しがあまりよくなく、それでいて乗降は多い駅なので、ホームに監視員が居るんでしょうが、その監視員が子会社だとは全く知りませんでした。制服も見た目社員と全く同じですし、確かに比較的年輩の人が多いなとは思っていましたが、助役がいるのかと思っていました。運転士や車掌と敬礼で挨拶し言葉を交わしているところも見ましたしね。
しかし、八柱駅に交代要員が居たのか。という点が明らかになっていないのが気になります。居なかったもしくはすぐには乗務できないとすれば、システムの不備にもなりますから。この間の東武野田線といい、地下鉄東西線の「独り言運転士」、新京成といい、どちらもこの千葉県がらみの地域で騒動になったのは果たして偶然か?